歴史ある観光ホテル
グループの
多彩な宿泊施設を
ブランディング
金谷ホテル観光グループ ブランディング
Client
株式会社KANAYA RESORTS
Credits
Creative Direction
池田 龍平
Technical Direction
池田 龍平
Art Direction
野原 かおり
Design
野原 かおり, 小澤優衣
Web Development
姫岡 崇
日本最古のリゾートホテルである「日光金谷ホテル」をルーツに、“本物のおもてなし”を追求する金谷観光グループのさまざまな宿泊施設の広告ツールをブランディング。旅の体験設計を意識しながら、それぞれの土地や施設の特別な魅力を伝えるWEBサイトや各種ツール、動画などを企画制作。施設コンセプトの言語化や、グループ全体の周年企画まで、ブランドの発信に幅広く携わっています。
View 1
老舗ホテルの新たな顔つきを表現
写真左:
情報伝達性を高めながら、貴賓室を思わせる、よりラグジュアリーなデザインへ。
写真右:
金谷鮮治氏の「和敬洋讃」の哲学と、ブランドのストーリーを伝えるコンテンツ。
きっかけは、「鬼怒川金谷ホテル」のWEBサイト制作。サイトを通じたシーズンごとの情報発信などに携わるなか、同ホテルが40周年を迎えるタイミングで「新たな老舗ホテル像を打ち出したい」と、リニューアルを依頼されました。提案に際し、意識したのは“宿の空気感が伝わるクリエイティブ”。「鬼怒川金谷ホテル」は、創業者であり粋人として知られる、ジョン・カナヤこと金谷鮮治氏のスピリットを受け継いだ、優雅な空間と行き届いたおもてなしが大きな魅力です。そこで、ブランディングの観点からサイトの課題点を洗い出し、宿泊予約から再訪までのコミュニケーションを見据えて再構築。ターゲット層の感性に響く動画やストーリーコンテンツを新たに取り入れ、利便性と訴求力を高めながら、和とモダンが調和するラグジュアリーリゾートを表現しました。
観光情報的な写真やテキストではなく、旅への誘いを目指した情趣あるリーフレット。
その季節ならではの魅力を発信する体験記や料理写真で、再訪への気持ちを高める。
リニューアルにあたり大切にしたのが、“広報物から旅は始まる”という考え方。サイトを訪れたときからお客さまの旅は始まっていると考え、ホテルと同様の美しさと快適性を備えることを意識しました。このコンセプトが受け入れられ、季節ごとに顧客へ郵送するDMの制作も担当することに。お客さまが手にとる紙媒体ならではの手触りや、写真の質感を大切に、KANAYAブランドらしいダンディズムや特別感を演出しています。合言葉は「捨てられないDM」。思わずとっておきたくなる洗練された表現で、幅広い世代の方の興味を喚起しながら、リピーター増につながるデザインを目指しました。
View 2
施設の特性に合わせた魅力を発信
写真左:
より“お忍び”を感じさせる、黒にゴールドをきかせたハイクラス感のあるデザイン。
写真右:
手に取りやすい縦長のサイズながら、上質さとモダンな風格のあるパンフレット。
2017年に同グループが開業した「KANAYA RESORT HAKONE」では、オープン時からブランディングに参画。ファミリーでの利用も多い鬼怒川金谷ホテルに対し、よりプライベートな雰囲気を感じさせる箱根金谷リゾートのテーマは、「ジョン・カナヤが愛した森の別邸」。宿泊者同士が極力すれ違わないように配慮された導線設計や、ワインカーヴを思わせる廊下、洋の中に和のエッセンスがにじむ内装とマッチするよう、黒を基調にドラマティックなデザインを展開。あえて語りすぎず、秘めやかに表現することで、ひと味ちがう来訪への期待感を醸成しました。また、原生林をそのまま生かした庭も、他にはない大きな価値。webサイトの「フォレストテラス」ページでは、雄大な自然美を感じる写真に詩情あるコピーを組み合わせ、この場所ならではのリゾート体験を表現しています。
写真左:
金谷グループらしい上質さを保ちつつ、人の気配や利用者目線を感じる写真表現に。
写真右:
ポケットに入れて持ち運べる、アクティブな施設特性にあった縦長のパンフレット。
翌2018年、那須高原にオープンした「THE KEY HIGHLAND NASU」は、オールインクルーシブ型ホテル。あえて“金谷”の名を冠さず、よりカジュアルに楽しめるよう設計されています。基本の宿泊代だけで、食事やドリンク、プールなどを楽しめて、自然のなかでのアクティビティも満喫できる。その新たなリゾート体験の魅力を伝えるため、施設コンセプトの言語化にも参画。クライアントやコピーライターと打ち合わせを重ねながら、オールインクルーシブ=なんでもできる、つまり「自分らしく過ごせる」というテーマを導き出しました。それをふまえ、体験者目線を意識した写真に、共感性の高いコピーを組み合わせ、「自分ならこう過ごしたい」という気持ちを誘発するコミュニケーションを展開。若者グループを中心に新たな顧客層を獲得し、人気ホテルへの成長に寄与しました。
View 3
さらなる「おもてなし」を目指して
写真左:
老舗らしい品がありつつ、次の100年へと向かっていくいきいきとした印象に。
写真右:
ブランドサイトとしての情感とECサイトとしての利便性を兼ね備えたデザイン。
2021年に、90周年を迎えた金谷ホテル観光グループ。その90周年特設WEBサイトやDMの制作も担当しました。WEBサイトでは、過去のCM動画を組み合わせてトップに使用。「老舗は常に新しい」のマインド通り、歴史を伝えながらもキャッチーに表現しています。DMでは、グループ内の個性の異なる施設を同時に掲載することで興味を喚起。鬼怒川金谷ホテルの顧客が金谷リゾート箱根のホテルを訪れるというように、グループ内での回遊性を高めました。また、金谷鮮治氏の美学を受け継ぐショコラトリー「JOHN KANAYA」のWEBサイト制作も担当。金谷ブランドらしい洗練された佇まいを保ちながら、贈り物にもふさわしい、芳醇なショコラの世界を表現しています。
写真左:
客室内や浴場への入り口に設置した端末を通じて、風呂の混雑状況を確認することができる。
写真右:
旅支度や服装の参考にしていただけるよう、宿泊の前にホテル周辺の気象情報をメール配信。
社会状況の変化をふまえ、センサーを活用した浴場の混雑状況がわかるアプリケーションを提供。クライアントと定例的に打ち合わせを持ち、日々のニーズや課題を把握するなかで実現した企画です。他にも、顧客への予約確認メールに、センサーで取得した宿泊期間の施設周辺の天気や気温を記載するなど、さまざまな角度からデジタルを介した宿泊体験の向上にも寄与しています。
グループの事業全体に通底する「おもてなし」の精神に共鳴しながら、一つひとつのイメージをかたちに。“旅の入り口”を担うという意識のもと、クライアントと密なコミュニケーションや連携を重ね、土地や施設ごとの多彩な魅力を表現。老舗らしい格と、そこにとどまらない新たな挑戦に、本質をとらえたクリエイティブで伴走しています。
Published
2023年4月
Direction
横田 泰斗
Text
丸山 るい(freelance)
国内最大級の選挙・
政治プラットフォームの
運営企業を
ブランディング
イチニ株式会社ブランディング